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『強迫症を治す』を読んで~病気と30年以上付き合ってきた私の変化~

〜7800文字の長文です。お時間のある時に読んでいただけると嬉しいです〜

主治医にすすめられた『強迫症を治す』という本を読みました。
私は長年、「強迫症」という病気と付き合ってきましたが、本を読んで、私の中の「強迫症」は追い出すべき病気だと気が付きました。

この記事は、「本の感想」+「私の強迫症」のことです。
長文になりましたが、お付き合いいただけると嬉しいです。

*強迫性障害とは*
・強い「不安」や「こだわり」によって日常に支障が出る病気。
・強迫性障害は不安障害の一種。

強迫性障害では、自分でもつまらないことだとわかっていても、そのことが頭から離れず、わかっていながら何度も同じ確認などを繰り返すなど、日常生活にも影響が出てきます。意志に反して頭に浮かんでしまって払いのけられない考えを強迫観念、ある行為をしないでいられないことを強迫行為といいます。

強迫性障害|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省より。

「強迫性障害」という言葉の方が広く知られていますが、2014年に「障害」が「症」に訳しなおされたそうです。この記事では「強迫症」と書きたいと思います。
『強迫症を治す』第六章・注釈に書かれています。

強迫症:OCD Obsessive-Compulsive Disorder
obsessive(オブセッシブ):意味:つきまとう、しつこい  
compulsive(コンパルシブ) :意味:強迫的、強迫観念にとらわれた(ような)、何かにとりつかれたような
disorder(ディスオーダー):意味:(心身機能の)不調、障害

著者は「強迫症」に罹患した精神科医とその主治医

精神科医が「強迫症」になった!って…… え?
そもそも精神科医って「強迫症」の専門家だよね?と、思いますが、「強迫症」の患者を診察する精神科医でも「強迫症」になるのです。

でも、ただの「治療方法」の本ではありません。
著者は症状を再発しながらも、地獄(強迫症)から戻ってきたのです。

強迫症になった精神科医の私(亀井士郎)を主語に書かれ、助言と加筆修正を主治医(松永寿人)が施しています。

死のピタゴラスイッチ

本を開くと目に飛び込んでくる言葉が「死のピタゴラスイッチ」
強迫症をうまく例えています。

何かの拍子に、本が崩れたとしましょう。本の雪崩はイスにぶつかります。イスにはローラーが付いていて、コロコロと転がっていき、床の電源コードの上に乗りあげます。古くなっていたコードは、その衝撃で断線します。断線したコードから火花が散り、恐ろしいことに発火してしまいます。火は近くの埃やゴミに燃え広がり、建物は大火事になり、結果、多くの人が死んでしまいます。大惨事です。私のせいです。残念ながら私の人生はここでおしまいです。さようなら。

これは当時の私の「強迫観念」、つまり想像の中の話です。

私の頭の中でも同じような強迫観念が浮かび上がるので、「死のピタゴラスイッチ」はよく分かります。
誰にでも「鍵を閉めったっけ?」「火は消したっけ?」と不安になることはありますが、「強迫症」の人にとっての不安は終わることなく襲いかかります。
酷い症状の時、私は家から出られませんでした。

強迫症は珍しい精神疾患ではない

強迫症の人は50人~100人に1人いるそうです。
発症年齢は平均して20歳前後。児童期の発症もあり、女性の場合は思春期での発症が多いとのこと。
「強迫症」を抱えている人は決して少なくないのに、まだまだ知られていない心の病です。

私が「強迫症」の症状が出たのは中学生の頃だと記憶していますので、思春期ですね。
当時は「強迫症」とは知らずに、戸締りやガスの元栓を「何回確認しても不安になる」理由が分かりませんでした。

私が「自分は強迫症なんだ」と知ったのは、21歳の頃。
美容院で偶然手に取った雑誌に「強迫性障害*当時は強迫性障害と書かれていました」の特集が組まれていたのです。
ただ、当時の私は一人暮らしを手に入れ、好き勝手に楽しく暮らし、「強迫症」の深刻な症状もなく、「わたしって強迫性障害なんだ」くらいにしか思っていませんでした。

強迫症の三つのタイプ・私はどれ?

強迫症には「確認系」「汚染/洗浄系」「ぴったり系」の三つがあると書かれています。

確認系

戸締りやガスの元栓を何度も確認していた私は「確認系」です。

メンタルの不調は「強迫症」の症状と比例しているので、パワハラ上司がいる職場で酷い症状が出ました。
威圧的に、「早くして」「今の仕事に〇分かかった」「一度で覚えて」など言われると、余計に確認行為ばかりしてしまいます。仕事のスピードが遅れ、焦ってミスが増え、悪循環に陥ります。
書類やお金の出し入れにミスがないように確認しても不安は消えません。
そして、「確認行為」をやめられなくなります。
(パワハラ体質な職場は早々に辞めました。パワハラからは逃げるが勝ちです)

汚染/洗浄系

感染や汚染を恐れ、洗浄を繰り返すタイプで、洗浄強迫とも言うそうです。

海外ドラマ『名探偵モンク』でも、モンクが歯磨きを何度もしたり、一日に何度もシャワーを浴びたり、汚染への恐怖が描かれています。

www.jibun-iyashi.com長女が生まれたとき、この症状が出ました。初めての育児と、授乳のストレスが原因だと思います。
赤ちゃんにばい菌が付くと思い、必要以上に手洗いをしていました。

長女が1歳の頃に「ハウスダスト」が原因でアトピーになりました
医者に「掃除を頑張ってください」と言われ、小さな団地を、毎日何時間もかけて掃除しまくっていた時期が数年あります。

普通の人より「ばい菌」に対して神経質と自覚していますが、コロナの感染予防で初めて役に立ちました。(笑)

ピッタリ系

あくまでも自分の感覚でピッタリしていないものに対しての不快感を感じ、自分にとってのピッタリを追い求めて脅迫行為が繰り返されるそうです。

かの有名なデビット・ベッカムが「強迫症」をカミングアウトしています。
ネット上に書かれているベッカムの症状は、この「ピッタリ系」ではないかと思います。

ドラマ『名探偵モンク』でも、モンクは家の中だけでなく警察署内にまで「ピッタリ」を求めています。

強迫症の本当の怖さ

私は「強迫症」と30年以上付き合っていることになりますが、はたから見ると暮らしは普通で、職場(パワハラ職場以外)でも指摘されたことはありません。
本にも「症状それ自体で死ぬことはまずない」と書かれています。

でも、一番恐ろしいのは……

生活の質、いわゆるQOL(Quality Of Life)を大幅に下げる病気として悪名高く、WHOにより、「QOLが低下する十大疾病」の一つに数えられたこともあります。

第一章 強迫症の疾患観念より。

 

私自身、強迫症の症状で時間を無駄にしていると思う事は多々ありましたが、自分が時間を捨てる事を選べば死ぬこともないし、人に迷惑もかけません。
9時に家を出ないと仕事に間に合わないなら、8時半に玄関に立ち、30分かけて戸締りを確認し、9時5分に走って家を出れば間に合うのです。

でも、それはでは「強迫症」と永遠に付き合わなくてはならないし、解決にもならないと、本を読んで思い知らされました。

「強迫症」に罹患している人は、少なからず周りを巻き込んでいます。
私も娘と一緒に家を出るときは、娘に「ガキ閉めたよね。電源は抜いたよね」と確認し、「大丈夫だよ」と言ってもらっていました。

本に書いてあるとおり、治そうとする気持ちがなければ、私は一生、多くの時間と労力を無駄にし、時に家族を巻き込みながら生きていくしかないのです。

強迫症の治療・薬物療法

本では、治療の柱として「薬物療法」と「認知行動療法:CBT」をあげています。

薬物療法とは主に「不安」を和らげるための手段であり、根本的な治療を目指すためのサポートの役割だと捉えなければいけません。

・・・以上の理由で、サポートといえども薬物療法はやはり重要なのです。

第三章 強迫症の治療戦略より。

~薬は個人差があります。薬の副作用を受けやすい私の体験談として読んで下さい~
私は過去に「強迫症」+「うつ病」になった時、薬が効きすぎて、副作用でほぼ一日中寝て過ごし、めまいに悩まされたので、薬物療法は受けていません。

心療内科への通院をやめ、薬を飲まずに5年間程過ごしましたが、数年前から現在の主治医のところへ月に1回通っています。

現在は、カウンセリングを治療のメインとし、過度なストレスがかかった時や、眠れない時に、頓服としてごく少量の精神安定剤を飲んでいます。

そんな私が本を読んで、今年に入って一か月ほど「薬物療法」を試しました。
「強迫症」で使われる一般的な薬を、ごく少量から試しましたが、効果が出すぎて主治医に相談し、服用をやめました。(あくまでも私の場合です)

私の薬の★効果と☆副作用
☆始終眠い。
☆朝、起きられない。
★戸締りが全く気にならなくなった。
玄関を出て気が付いたらマンションの外にいる!というビックリ。
全てをどーでもいいと思う。
★金遣いが荒くなった。
全てがどーでもいいので、欲しい本や食べたいものを予算がなくても買ってしまう。
☆体重が3キロ増えた!
夜中のラーメン、夜遅くのファーストフード、夜中のポテチにコーラ。いつもなら健康を気にして食べないのに、全てがどーでもいいのであっという間に3キロ太った。

健康診断を控えているのに3キロも太ってしまい、さすがに「これはまずい!」と思って主治医のところへ駆け込んだのです。
太ったのは、眠気が出て朝の二度寝、昼寝、夜も早く寝るので体を動かす時間が減ったのも原因と思われます。

薬はごく少量でしたが、もともと薬が効きやすい体質であることと、真面目な人ほど(?)タガが外れたようになることが……まれにあるそうです。

風邪薬ですら、副作用で眠気が酷く、漢方薬に変更してもらっている私には、薬物療法は向いていないのでしょう。
今後は「認知行動療法」で治していきたいと思っています。

強迫症の治療・認知行動療法

認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy :CBT)

CBTとは、一言で表せば「脅迫行為を我慢する治療法」です。

第一章 強迫症の疾患観念より。

第三章では、患者自身が治し方を理解することの大切さと「認知行動療法」について書かれています。
著者が「強迫症」を経験しているので、「強迫症」を持つ人の気持ち、不安な気持ちへの例えが分かりやすく説明されていました。

いくつかの鉄則が書かれていますが、私が本を読んだ後すぐ取り入れたのは、鉄則3『2回ルール』でした。

行動の回数をルールとして決めます。
これまで自分でも「3回」や「5回」と決めてバカらしい行動をやめる努力をしていましたが、本にも書いてあるように「3回」だと、数が分からなくなって「今回は5回」と最初からやり直したり、不安は消えませんでした。

『2回ルール』私の戸締り確認

玄関の鍵を閉めた後、ドアを引っ張って確認する回数を「2回」に徹しています。
今では、エレベーターに乗ったときに「本当に鍵は閉めたの?」と心の声が聞こえても「2回ドアを引っ張ったから大丈夫」という心の声で不安を打ち消しています

「2回ルール」は全ての「強迫症」に通用するわけではないと書かれていますが、(本を読んだあとに)試してみる価値はあると思います。

 

強迫症の症状は十人十色

本には、著者(亀井士郎)自身の症例と、多くの患者の症例が書かれています。
「強迫症」といっても、人によって症状は様々です。
本には、私の想像以上の世界が書かれていました。

私ですら、こんなに苦しいのに、もっと大変な症状を抱えている人たちがいる……
衝撃でした。
悩みを共有したり、打ち明けられる、海外の自助会のような場所が身近にあるといいなぁと思います。

強迫症は「家族を巻き込む」からこそ、家族にも読んでほしい本

娘2号から「慌てて家を出たときに、電気ケトルのコンセントを抜いたか心配で家に戻った」と聞いた時、家族を巻き込んでいないと思っていた私が、本当はいかに家族を巻き込んでいたかを思い知らされ、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
繊細さん気質の娘2号は、私の不安を察知し、受け止め、巻き込まれてしまったのでしょう。

本には、巻き込まれる家族の指南が書かれています。

まず確かに言えることは、患者は例外なく「ものすごい努力家」であるという事です。脅迫行為一つとっても、他者からの想像以上に膨大なエネルギーが注がれています。

第七章 患者と家族のための指南より。

という、患者への理解ある言葉から始まり(私はこの言葉を読んで泣きました)
家族にできる事が書かれています。

この部分だけでも、ご家族に読んでほしい本です。

強迫症は「恥」ではない

私はずっと「恥」だと思っていました。
自分でもバカげていると思う症状は恥ずかしい限りで、「精神障害」だなんて誰にも言えないし言いたくない。と思っていました。
酷い症状に悩まされても、心療内科に通う事にものすごい抵抗を感じていました。

発達障がいの子育てで「心療内科・精神科」へ行くことへのハードルがり、日常生活がままならない症状が出たため、切羽詰まって通院することを選びましたが、自分の事で、その門をくぐるのは勇気が必要でした。

でも今は「決して恥ずべきことではない」と思っています。
完璧な人間なんてこの世にいるでしょうか?
心が弱い?そんなことはないと思います。
「強迫症」への理解が進んでいないので、カミングアウトしにくいだけ。ではないかと思っています。

性格は関係あるのか?

「完璧主義だから」「真面目すぎるから」「力を抜くことも覚えた方がいい」そんな言葉が思い出されます。
私の性格がダメなのか。私が悪いのか。と、自分を責め、悩みました。
本には「これぞと言えるほどの特定の性格要因は見出せません」と書いてあります。
もし、自分を責めている人がいたら、第六章「強迫症の背景」を読んでいただきたいです。

有名人にも多いOCD(強迫症)

検索すると、芸能人に疎い私でも知っている有名な方々が、カミングアウトされています。人種、性別、職業に関係なく、お金持ちでも、そうでなくても、自分と同じように「強迫症と戦いっている人」がいると知ることは、勇気になり、安心させてくれます。

カミングアウトした私に友人がかけてくれた言葉

仕事を辞め、人間関係を整理した私が付き合っている友人は、強迫症であることを伝えている人たちばかりです。
友人たちは繊細さん気質の私のことや、発達障がいの子育てを理解してくれている人ばかりなので、伝えたところで何一つ変わる事はありませんが、心に残った言葉があります。

本人しかわからない辛さで、その部分を共有できないけれど、気持ちに寄り添いたい。

メールでいつも私の暗い愚痴を聞いてくれる友人ですが、この言葉はすごく嬉しかったです。

ずっと、そんな大変な苦労をしてきたなんて知らなかったよ。
戸締りにそんなに時間がかかるのに、役員の仕事を早く来て準備してくれていたんだね。

一緒に委員をしたママ友が言ってくれました。何を話しても、絶対に私を否定しない大切な友達です。

これから

我が家は、発達障がいの子ども達が分かりやすい「暮らしの工夫」をしてきました。
本を読んだあと「強迫症の私」の目線で我が家の暮らしを見てみました。
家の中には「強迫症」の対策アイテムがいくつかあることに気が付きました。
そして、私が目指しているシンプルライフは、「強迫症」の対策でもあったのです。

「家が散らかっていると息ができない」という私の口癖。大げさではなく、本当に息が出来ないくらい心が苦しいのは、「死のピタゴラスイッチ」が襲いかかってくるからです。
これから……
ブログで暮らしに役立つアイテムを紹介する時に、強迫症にも役立つモノであれば一緒に紹介したいと思います。
もし、片付けたり整理整頓することが、私の「認知行動療法」に繋がっているなら、そのことも記事にしたいです。
そして、友人のたった一言で克服できた症状もあります。
そんなことも、記事にできたらいいなぁと思います。

おわりに

「強迫症」を「治す」より「付き合う」人生を選んできた私ですが、主治医からこの本紹介されたことで、治せるという希望を持ち、治していこうと思えるようになりました。

この本を手に取る機会があったら、「はじめに」だけでも読んでみてください。
長年「強迫症」と付き合っている人、「強迫症」を抱えて苦しんでいる人、諦めている人、その周りの人たちが、「強迫症」を、正しく深く知ることで、諦めていた「治す」ことへの道が開けるかもしれません。

 

~長文を最後まで読んでいただき、ありがとうございました~


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